2007年6月20日 (水)

高瀬舟

エホバの証人輸血拒否患者死亡事件、

という名前でいいのだろうか。

宗教法人エホバの証人は、なんでも格技と輸血を絶対禁止しているらしい。

神戸高専で剣道受講拒否学生退学事件があったから、
妙に場所が近くて、一連の事件は気になる。

最初は、東京大学医科学研究所附属病院で、
最後の手段で輸血する、というインフォームをしなかったことから、
輸血した医師は、患者の自己決定権を奪ったとして、患者に対し損害賠償。

今回、医師側としては、まさにこれしかないという方法での手術だった。
患者も家族も輸血拒否をしていたから、結果が結果とはいえ、一見問題はない。

しかし、疑問はある。
日本には、刑法がある。

人の死期を早める行為は、殺人罪である。
目の前で瀕死の人がいて救けられるのに何もしないのは、保護責任者遺棄致死罪となる。

また、損害賠償請求とエホバの証人からの糾弾がこわくて、輸血しないで患者が死ぬのは、失われた利益と得られた利益の間に均衡がないから、
過剰避難となって、少なくとも業務上過失致死罪になりうる。

そこで、この点から医師を救うには、正当業務行為だ、と考えるしかない。

じゃあ、安楽死とのかねあいが問題になる。
東海大安楽死事件の、医師には殺人罪がくだされた。横浜地裁は安楽死4要件として、患者の耐え難い苦痛・死期・代替手段不存在・患者の意思をあげた。

しかし刑の執行云々ではない。殺人罪になったこと自体が問題なのだ。

安楽死も手術中の輸血拒否も客観的に同じだから、宗教上の理由で輸血を拒否したときも、4要件が使えてもよさそうだ。

すると、問題は、苦痛と死期だ。

ところで、安楽死は「尊厳」ある生のための、自己決定に含まれる。
もちろん、憲法上の自己決定権とはいえ、無制限ではなく
よりよい生を生きる権利だから、死ぬ自由はない。
それに、とうぜん内在的な制約があって、
他人に加害行為を及ぼすことは認められないから、
他人を刑法犯に陥れるようなことは許されないはずとなる。

しかし、よりよい生というのも人それぞれだから、死ぬまでどう生きるかはその人次第だ。
延命措置をつけないで生きたいのも、輸血されずに生きたいのも。
その結果、死んだとしても。
そういう意味で、安楽死は、自己決定権に含まれる。

ジレンマが見えてきた。
あちらをたてればこちらがへこみ、こちらをたてればあちらがへこむ。

まさに、一連の憲法理論の転機となりうる事件である。
しかし、そこを何もかえずに、お医者さんを無罪にしたい、と思って考えた。

エホバの証人の信者の自己決定権、信教の自由は最大限に保護されなければならない。
しかし、医師も守りたい。
そこで、先の4要件に戻る。
そもそも手術中に耐えがたい苦痛があるかは麻酔があるから判断できない。
死期も、手術をしたから急速に近づいたのだ。
医師の招いたことなのに安楽死の要件はみたされているのか?
しかし、手術を選んだのまではよりよく生きようとする患者の自己決定権、とこうなっている。
すると、苦痛と死期を呼んだのは、患者自身となる。

それならば、医師の処置は正当業務行為で無罪になる。

検察も捜査の必要がなく、一件落着となった。

ということで、今回の事件は、非常にうまくことが進んだといえる。

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2007年5月19日 (土)

平穏に暮らしたいから

Killer Queen と、 (Another one) Bites the dust を続けて聴くことにした。
手フェチじゃないけど。

さて、winnyで、マンガを先に流してしまう、という事件が起きた。
流した疑いのある3人は、公衆送信権侵害による著作権侵害罪で逮捕。
まぁ、それでいいとも思えるけれど。
今回の場合、発売前=未公表だったので、公表権の侵害でもいけるような気がする。
後で再逮捕するつもりなのかもしれないけれども。

ところで、過失の同時犯について考えた。
が、なんかまだ公開したくないので、そのうちにしよう。

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2006年8月15日 (火)

自己中心者のディアレクティーク

ほとほと、身の周りに、自己中心的な人間がいると、
腹が立つ。

意外と困ったときに、誰も自分の方を向いていないことに気付いて、
焦って、こちらを向かせようとする人に限って、
普段から人の方を見ていないから、
意外と困った人が周りにいることには、気付いていない。

そんなもんなんだよ。ちくしょう。

ま、そんなこと、どうでもいいや。

刑訴法改正案。
すごい進んでる。改革にもほどがあるから、ちょっと頭を冷やすがよい。
主に、被害者の刑事裁判への参加が議題だ。
被害者の刑事裁判への参加は、今は、意見を検察に渡すことくらい以外認められていない。
この姿を、法廷で見たことがあるが、どうも、
冷静に手紙の朗読を聞いていると、淡々と読まれる感情的な文章ほど、
中身の伝わりにくいものはないもので、
被告人に応えるかどうかわからない。
それに、被告人がそもそも犯人かさえわからない段階で、その手紙に心打たれて涙すれば、
それは後悔として採られるのだろうか、
裁判官の自由心証に委ねられる以上、応えは闇の中である。
できる限り、直接出てきて、被害者やその親族と向き合って、刑事裁判を進める機会を作ることが望まれる。
① わいせつ事件で、被害者の名前を伏せる。
・・・これと、被害者の刑事裁判への参加がどうつながるのかは、不勉強で分からないが、
冤罪が最も多い分野、とくに「男性」というだけで嫌疑が高まるという特殊な分野で、
真実発見から遠ざかるような処置をとることになることにも、
ひとつ思考を巡らせて戴きたい。
赤裸々に事実を話せる機会が与えられることは、誇張して話をする機会を与えることと、背中合わせであったはずである。
それより、破廉恥罪では、被害者の名前を伏せることも重要だけれども、
刑が確定するまでは、被告人の名前を伏せておかないと、
最悪の場合、とんでもないことがおきる、ってゆうか、現におきていることを、
ちゃんと分かっておかなければならない。
② 付帯私訴の再開
・・・審理期間の短縮に、とのものだが、手続が複雑化するから、廃止されたものなので、
ちゃんと、ゆっくりシステムを検討してから決めてもらわないと困る。

こんなことばかり書くと、世間的にはいろんないわれ方をされるが、
ま、いち「本読み」として、他人事のように考えているだけで、
別に賛成も反対もしていないことだけは、理解していただきたい。

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2006年8月 5日 (土)

アクセス解析

ココログフリーにもアクセス解析がついたので、
早速、見てみた。

さすがは@niftyさん。
いろんな検索エンジンによくわかんない単語でひっかかっているらしい。

面白検索ワードを、見てみた。

○ 内田恭子

なんでなんだろう。
一切、ウッチーの話題に触れた記憶はないのだが・・・
第二検索ワードも調べてみると、
内田貴 内田恭子
あ、たしかに、おじと姪、って噂はありますもんねぇ。
しかも、そう思って見てみると、内田教授とウッチー、
なんとなく似てるようにも思えるんですね。

○ 混浴

1回でも、書いたことあるかぁ??
たしかに秘湯混浴刑事エバラ、という単語に
聞き覚えはあるものの。
混浴は書いてないだろ、混浴は。

○ 美人

そろそろ、自分のブログがよく分からなくなってきました。
マックネタで、文京GCに触れたときに書いてたみたいですね。
これも第二検索ワードから分かったことなんですけどね。

○ ブラジャーライン

だーかーら。
なんでひっかかれるんだよ、女性下着で。
ってゆうか、ほんと、このサイトなんでもアリだったか??

○ がっちゃんダイエット

しかも、がっちゃんダイエットでも検索されとる。
・・・嫌がらせか?
しかも、一語なんだよな、一語??
たしかにダイエット(および、リバウンド)の話題は、かなり多いよ。
某SNSサイトのプロフィールにも書いたけど、
この7年間で、+2㌔ですよ。
・・・てゆうか、誰?こんなえげつない検索したの??

○ 殺人

・・・・・・何サイト?これ?
しかし、第2検索ワードで、なんとかわかりました。
岩手の母子殺害事件の話題です。
しかも、これで検索していらっしゃった方が妙に多かったのが、
大変気になるんですが。
絶対にやっちゃダメですからね。

しかしま、ほとんどが、手話と法律。
いも煮でいらっしゃった方はいないようで。
中でも、多かったのが、
責任構成要件と、刑法総論、西田典之教授、佐伯千仭博士の名前。
そこで、期待にこたえられるよう、この責任構成要件の話をあげとこうか、
と思います。(そんな時間あるんかい!)

責任構成要件とは、刑法の処罰要件の1つです。
本来、刑法上罪になるには、刑法第2編の各則に書いてある罪にあたること、
(構成要件に該当する)
正当防衛などの、違法性を失わせるような事由が無いこと
(違法性がある)
あと、責任を問えること
(責任性がある)
が必要です。
悪用されるとなんなので、注意。
責任がないとかで、刑法上無罪になることは、まずないですからね。

で、このうちの構成要件の要素となるのは、なんなのか。
責任構成要件で検索された方は、この辺までは常識でしょうね。

まず、客観的に構成要件にあたること(他人の物を取った、人をたたいた)。
これが、客観的構成要件要素です。
次に、「故意」にそういうことをしたか、「過失」であったか。
これは、主観的構成要件です。
構成要件には罪名個別化機能というのがありまして、
これを強調すると、この2つの種類の構成要件が必要ということになります。

しかし、構成要件がそういうものである以上、
故意を考える場合には、実際に犯罪を個別化する以外は、責任段階で考えることになります。
そこで、故意が、構成要件的故意と、責任故意の2つに分かれるのです。
2回が大げさなので、故意は責任段階で1度だけ検討するべきだ、というのが、
結果無価値論の平野博士や山口教授の立場。
面倒くさいので、構成要件段階だけでよいとするのが、
行為無価値論の大谷先生の立場ですね。

とういうことで、立場によって、構成要件を違法・責任類型と見るか、責任類型と見るか、違法類型と見るかは異なってきます。
が、判例の見解は、違法・責任類型だといわれています。

それで、この構成要件をしっかり見てみると、
客観的構成要件というものは、
要するに、犯罪の違法性阻却事由によって、正当化されうるものです。
客観的に、人を叩いたことは、構成要件に該当するが、相手がピストルを構えていたら、
正当防衛で、正当化されますね。
反対に、主観的構成要件要素は、責任阻却事由によって正当化できますね。

そこで、名前を置き換えてみたものが、
違法構成要件・責任構成要件です。
なお、総論的に検討する際には、
違法構成要件該当性→違法性阻却事由→責任構成要件該当性→責任阻却事由
と、なります。
故意は、責任を基礎付けるものですから、
責任構成要件要素となりますね。
これが、西田先生や、佐伯(千)博士の説です。

そうすることで、故意判断の際のブーメラン現象(山口説等への批判)が回避できます。
さらに、故意の二重評価(行為無価値通説への批判)も回避できますし、
構成要件と違法の混同(大谷説への批判)も、もちろん回避できます。

さらに一歩進めて、
違法構成要件についての身分犯が違法身分(65条1項)、責任構成要件についてが責任身分(同2項)だと考えれば、
共犯と身分についてまでの西田説を一貫して説明することができますね。
ま、これを西田先生が「是」とするか否かはさておき、
900番講堂(検索ワード1位)での講義と、シケプリ(検索ワード2位)という名の
自分のノートと、論文で、「わたしが」考え出した説明です。

専門外のみなさま、変な話ですみませんでした。

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2006年7月26日 (水)

無い知識の整理は意外と容易いが、人に見られると恥ずかしい。

あらっと言う間に試験直前。

何してんのこんなとこで・・・
と、見た目余裕の割りには、かなりあせっているワタクシがっちゃん26歳。
最近ようやく19歳を名乗り続けることの空虚さに気づき始めた19歳98ヶ月である。

下にあげたメールの返事。
まーくんのメッセージを読むと、
やはり何のニュアンスも伝わっていなかったようだ。
さすがはまーくん。
奴は期待を裏切らない。

ところで、岩手の母子行方不明事件が解決しつつある。
おそらく、殺人なのだが、
この事件、いろいろと問題をはらんでいるので面白い。
そこで、マスコミとはちょっと違った斬り方をしてみようと思った。

刑事訴訟法上、裁判は裁判官が提出された証拠を自由に採用してよい、ということになっている(318条)。
しかし、この「証拠」は、拷問などを禁止するためにも、適法なものでなければならないので、
違法に集められた証拠(違法収集証拠)は排除されることになる。

排除される、とは、証拠として認めない、ということで、
一般的に法律の世界では、証拠能力が無い、と呼ばれる。

ここで問題となるのが、「違法に集める」とは何なのか、ということである。

歴史的にこれが排除される結果となった経緯を考えれば、
拷問による自白だとか、不当に長い間拘束された後の自白だったり、
その他、ポケットから無理矢理ひっぱりだした覚醒剤だったりする。

また、自白(319条)は、それ単独では証拠にならない(憲法38条)ので、
その自白を補強するような証拠が必要であることになる。

その補強の程度について、
実際に犯行に使われたものや、盗んだ宝石などが見つかることが必要だとする説がある。
また、これに加えて、被告人と犯人の結びつきを証明することが必要だとする説もある。
前者が、自白の真実性を求めるのに対して、後者は、誤認逮捕を避けることを目標とするものだ。
しかし、これらの説では、死体なき殺人(オウム事件)などが処罰できない。
また、後者はとくに、その結びつきを証明する資料などが、手に入らない。
そこで、私は、自白が嘘でないことを証明する程度の証拠で良いと考えている。
が、それはともかく、今回は、被害者が発見されたので、
どの説に立っても、自白は補強されたことになる。

ところが、この自白の引き出し方が違法だったら、
任意性がない自白である=違法収集証拠であるとして、これらの証拠が使えないことになる。
ただ、この場合でも、
①令状主義を没却するような重大な違法でなく、
②将来の違法な捜査を抑止することができないような場合には、
証拠そのものは、排除されずに裁判資料となる。
今回の事件がこれにあたるかはさておき、
先に、なぜ、違法だ、とさっきから繰り替えし述べているのかをお話しよう。

まず、逮捕には3種類の方法がある。
ひとつは、通常逮捕、これは逮捕令状を持ってきて逮捕するという、最もオーソドックスなものだ。
嫌疑が相当なもので、逮捕の必要があるときに認められる。
次に、緊急逮捕。
今回はこれだったのだが、嫌疑が十分で、重大な犯罪が行われたときに、令状を後でとることを条件に逮捕できるというもの。
最後が、現行犯逮捕。
これは誰でもできる、嫌疑が明白で、時間的・場所的に犯行後間もない場合に認められる。

ということで、緊急逮捕されたわけだが、
これら、逮捕は、警察がすると、48時間以内に送検せねばならない。
検察は、逮捕したり、送検されたりして24時間以内に勾留請求か、起訴をしなければならない。

ということで、警察が逮捕していられるのは、かっきり48時間だけなのだ。

これを、1分1秒でも、伸ばしちゃあだめだ。

ところで、本件では、警察発表によると、
午前9時に任意同行、午「後」9時半に自供、とのことだが、
この時点ですでに12時間半が経過している。
さらにその後、現場に行って捜索、発見したのが午前1時40分。
その場で緊逮した、ということなので、
身柄拘束時間が、なんと、16時間10分。
おそらくはその間、寝たりしていないはず
(任意同行だから)
なので、取調べ続けていた場合には、
正当な理由なく、令状なしで事実上逮捕していたのと変わらない。

とすると、これは違法な捜査だった、ということになる。
そこで得られた自白には任意性がない。
今朝のニュースによると、
金銭目当てでの住居侵入だったのに、娘の帰宅を被害者宅で待つ、など、
矛盾、不自然なところが多い。

たしかに、被害者の体については、
「秘密の暴露」ともとれる、自白をしたのであるから、
真にその者が犯人である可能性は高いが、
どうにも警察の捜査がいただけない。

私は、このようなときには、
警察への懲らしめの意味もこめて、
無罪でいいとも思うが、
さすがに、被害者が見つかった以上、
絶対に無罪にするべきだ、とまでは言い切れない。

ここで、先程あげた、最高裁の2要件に照らし合わせると、
①(緊急逮捕の逮捕状を出してしまった裁判官に問題があるが、
裁判官が事情聴取の時間を知らない可能性が高いので、それは仕方ない。)
そこで、中に食事休憩などを入れたのであれば、
12時間半なら、少しきついが、令状主義を没却するとまではいえない、と判断するか、
②この程度の任意同行に基づく捜査は「よくあること」なので、抑止効がないとするか。

そうやって、違法性がないと、述べるしかない気がする。

また、警察が、実質上の逮捕の始まった、一昨日朝9時半からの48時間後である今朝9時半までに送検していれば、
違法はクリアされた、と言ってもよいと思われる。

なんにせよ、どのような進展をするか、目の離せない事件である。

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